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GWは温泉と読書
ゴールデンウィーク、暑かったですね。
私は近場で温泉三昧してました。温泉って、ある程度、続けて入ってると、ほんとにお肌がトゥルットゥルになりますね。昼の露天なんかも景色が良くて気持ちよかったです。

あと、今更なんですが、高村薫の「照柿(上下)」を文庫でまったりと読んでました。読もうと思って前から買ってあったんですが、なかなか作品に入っていく心境になれないまま、ほったらかしだったというか。

高村薫は文庫版をだすとき、大幅に加筆・訂正などするので有名らしいんですが、あとがきによると、この作品の場合、けっこう刈り込んだようですね。たったひとつの台詞がなくなっても、印象が変わったりしますから、元のハードカバーの文章と比較してみたいものですが、そこまでしなきゃいけないほど面白かったかな、というのが私の正直な感想です。

下巻の半分を超えたあたりからやっと目が離せなくなり、ラストの余韻も悪くはないんですが、そこにいたるまでが長すぎる感じがしましたね。いくらリアリティはディテールの積み重ね、と言っても、あんなに延々と工場の瑣末な設備のひとつひとつについて描かなくてもいいような気もしますし、合田刑事とその幼馴染については執拗なまでの心理描写があってねっとりと暑苦しいのに、三角関係の軸になっている女については妙にからっぽな印象を受けます。それで、合田がなぜその女にこだわるのか、ということに説得力がないんですね。カミュ的に「暑かったから」「太陽のせい」、あるいは本に書かれているように「中年にさしかかった心身の変調」、そんな理由でもいいんですが、主要登場人物の三人が、そろいもそろって普通の神経をしてない、ある意味、はた迷惑なメンヘラー、それならばなぜその人たちがそうなるのか、そこに焦点を当てきってほしいと。まだその部分が不足していると思いました。なんとなく、人はそうなってしまう不条理な生き物だ、とか、幼年期のトラウマが、みたいなね、手垢のついた方向にいってほしくなかったですね。この作品をもってして、「現代の『罪と罰』である」とか、もう、出版社はよくもぬけぬけとって感じです。いくら本が売れないからって。

あの高村薫が書いた、なんだか重厚な作品らしい、そういう情報があらかじめインプットされてるから、読めるんですよね。これが無名の同人誌の連載なら、最後まで読む気しますか?ネームバリューあってこそ、でしょ。だって、ミステリの棚に置いてあって、この内容じゃ、購買層と微妙にミスマッチというか、純文学の棚に置くべきじゃないかと。そういう「人の暗いところをつつきまわして、斜に構えて理屈をこねまわし、それでもまだわからないことがありがたい」みたいな売り方するんならね。
・・・と、辛口になりましたが、私は基本的に高村薫の合田刑事ものは好きです。マークスの山は面白かったと思うし。本棚には、次に読むべく、レディ・ジョーカー(上下)が控えてます。ブックオフで手に入れたハードカバーです。これも、気合いが入るまで、読みはじめるのはもう少し待とうと思ってます。
| Fragments | 19:18 | comments(2) | trackbacks(0)
コメント
高村作品は、やたらマニアックな事柄のディテールを延々と読まされたりするので、ちょっと暇つぶしに、という感じでは扱えませんね。
異色ともいえる「李歐」はエンタメ性が強いですけど。まぁでもあれはあれで、人に「良かったから読んでみたら?」と勧められる内容でもないし・・・(笑
好きな人は好きかもしれないけど、受け付けない人なら「ナニコレ?」でしょう。
最近の作品も読みたいなぁと思うんですが、長々しいので気合いが。。。
最近、「レディ・ジョーカー」が文庫になったそうで、やっぱり足したり削ったりされていたとか。完璧主義というか、その時の自分に忠実なものを、という気持ちの強い人なのかなと思います。
| marineko | 2010/05/10 12:57 PM |
高村薫は「神の火」を最初に、結構読みました。
「神の火」は単行本の時点で相当加筆されていたそうですが、文庫版ではどうなっているか…。
でも確かめるほど、夢中にはならなかったので確認してません。
今、高村薫を読む気合がないので、読んでないですが。
| ももこ | 2010/05/08 11:44 PM |
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